御堂筋本町ミライ会議

01 新築のマンション価格が上昇しています。
その原因はどのあたりにあるのでしょうか

※掲載の写真は、航空写真は2019年6月に撮影したものです。

※掲載の写真は、航空写真は2019年6月に撮影したものです。

第一の要因として、近年は建設工事費と土地価格が継続して右肩上がりということが挙げられます。特に建設工事費は、2011年の東日本大震災以降、資材をはじめ工事等に関わる費用の高騰が続いています。さらに東京オリンピックや2025年開催予定の大阪・関西万博、IR(統合型リゾート)誘致の影響も大きいと思います。それに伴うインフラ施設の建設が必要となりますから、このあたりも不動産価格への波及が予想されます。但し、これは日本経済全体を牽引することになり、景気を押し上げる契機にもなります。
もう1つは、経済を上向きにさせるために、金利を安くしたこと。アベノミクス成長戦略のひとつとして、企業の設備投資を促すとともに、不動産投資も活発になりました。低金利はマンション購入の大きな動機付けになっています。マンション価格の高騰が全国レベルで続いていますが、首都圏では2019年の新築マンションの平均価格が6,000万円を超えており、一般人では手が出せない水準になっています。そのため、中古マンションの需要が増加し、こちらも価格が上昇しています

02 今、都心回帰が進んでいます。
それも以前を凌ぐような勢いを感じます。

掲載の写真は、航空写真は2019年6月に撮影したものです。

※掲載の写真は、航空写真は2019年6月に撮影したものです。

大正後期から昭和初期の大大阪時代には、大阪は世界6位の人口を誇りました。ヒト・モノ・資金などが都心に集まり、昭和期においても人口は増え続けます。人が増えるからこそ都市を作り上げられ、不動産の価格は高くなりました。家族形態の核家族化によって、人々はニュータウン開発が進む郊外に住まいを構えるようになりました。そのような時代の流れの中で、郊外の生活環境に恵まれた地は高級住宅地として発展し、バブル経済により土地価格は大きく上昇、その結果ドーナツ化現象が進みました。都心回帰という現象が現れたのは、バブル景気が崩れて土地価格が下落した1990年代後半です。
タワーマンションは1970年代に始原がありますが、本格化したのは2000年代になってからです。1997年に高層住居誘導地区制度が創設され、建設工事の技術進歩にも拍車がかかり、土地を有効活用できるということから大量供給時代へ突入しました。都心部にもマンションが増えてきたことで、これまでコンビニ程度であった買い物施設は深夜まで営業するスーパーに変わり、医療施設等も増えて暮らしやすなりました。また、昔は排気ガスによる空気の汚染や、緑など自然の乏しさが都心で暮らすことを躊躇させていましたが、近年はずいぶん改善されてきており、マンション建設での緑化制度も推進されています。それも都心回帰の一因になっていると思います。

03 都心回帰は、働き方の変化も
影響しているのではないでしょうか

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それもあると思いますね。女性の活躍が特別な事ではなくなった昨今ですが、少し前までは女性は働いていても、結婚や出産と同時に多くの方は退職する傾向にありました。子育てしながらパートタイマーとして働き、子育てが落ち着いてから再び本格的に働き始めるという方が多かったように思います。今はそうではなく、働きながら出産・子育てをするという時代に変わってきました。
さらに、結婚して二人の時間を大切にするのはもちろん、お互いの個の時間(部分)を尊重するライフスタイルの流れもあって、通勤時間が短縮され、時間的なゆとりが生まれる都心生活が大いに歓迎されているようです。生活をサポートする施設が身近に整い、お買い物もラクにでき、教育環境なども充実していることで、安心で快適に暮らせること、働き方の変化と共に、生活を支える環境の変化も都心回帰を促しているといえるでしょう。

04 大阪市中央区の人口が、20年前に比べて
約2倍近く増えています。このエリアに住む魅力とは

中之島公園・淀屋橋odona・靭公園

中之島公園・淀屋橋odona・靭公園

1番はやはり職住近接ということではないでしょうか。これまで郊外に居住して都心に通勤されていた方が中央区に居を構えるようになり、都心部に人口が流入しました。先述のとおり、日常の暮らしに欠かせない生活利便施設が充実してきたということもあり、都心部が働く街から住む街に変化しました。大阪の大動脈である御堂筋に近く、中央区のなかでも梅田~難波間は、キタとミナミの両方にアクセスしやすい。
二大繁華街へ歩いて行けるというような立地は、住宅地としても希少性が高いですね。西側に行けば靱公園、東に行けば大阪城公園、北に向かえば中之島公園もあります。そういう意味では、都市の持つ利便性を享受しながら充実した生活が得られるのが、このエリアということでしょうか。

05 これから都心駅近にマンション用地はありますか。
また、今後の不動産の傾向は。 

中之島公園・淀屋橋odona・靭公園

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都心部における駅近のマンション用地は希少性を増しているといえます。というのも、都心部での駅近エリアは既に開発されて街として成熟している所が多く、特に駅徒歩1分という限定されたエリアが、これから目覚ましく発展するようなことは、なかなか考えにくいというのが実情ではないでしょうか。また、今後の不動産の特徴と予測では、これまでは都心部で空地が出た場合の多くはマンションに変わっていましたが、ここ数年はオフィスビル、インバウンド需要によるホテル建設が進んでいます。
今後は大阪・関西万博もありますし、IRも決定を待っているような状況です。増加する国内外の観光客ニーズに対応すべく、また投資対象という側面からも、大阪の不動産については各業種による用地仕入れの競合が激化することでしょう。都心駅近の実需型タワーマンションについては、高い需要がある中で供給が困難になりつつあるといえます。
笹原 雪恵

Profile

笹原雪恵

Sasahara Yukie

不動産経済研究所大阪事務所所長。ランドスケープデザイン事務所、不動産販売会社の企画・受託営業や、賃貸借の管理受託・コンサルタント業など、多岐にわたる不動産業務に従事。2012年から現職。

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